2023年12月31日まで,CYDEF 2023全講演の日英両ヵ国語による講演動画を,オンデマンドで視聴できます.オンデマンド視聴のための登録は,2023年12月15日まで受付中(ここをクリックすると,Peatixでチケットを購入できます)です. 古市研究室との共同研究に興味のある方には,優待コードを発行させていただく場合があります,希望者はフォームで問い合わせてください.
古市研究室では,2014年にサイバーセキュリティをテーマとしたシリアスゲームジャムに多数の学生が参加して以来,人々のサイバーセキュリティへの対処能力向上をテーマとしたシリアスゲームを多数開発してきました.また,近年はオレオレ詐欺に代表される特殊詐欺の被害から我が身を守るためのシリアスゲームの開発や,アラブの春等SNSを介して小さな民衆のチカラが国家の民主化を動かすことができることを体験するシリアスゲームを開発する等,ネット上の情報発信と拡散,そしてそれが人々の行動に影響を及ぼす点に興味を持つ学生が増え,昨年からは偽情報の発信と拡散及び人々への影響に関する,情報戦や認知戦に関連する研究も行っています.
シリアスゲームの研究者として最も興味があるのは,
一方,サイバーセキュリティの研究分野において,サイバー攻撃に対する人の対処能力の向上に関する研究は「サイバーディフェンス」の範疇に含まれ,NATO各国にはサイバーディフェンスを研究する研究所がたくさんあります(フィンランドのハイブリッド研究所 (Hybrid CoE),エストニアのNATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE),ラトビアのNATOストラテジックコミュニケーション研究所(NATO StratCom),オランダのNATOコマンドアンドコントロール研究所 (NATO C2CoE),米国の陸軍サイバー研究所 (Army Cyber Institute, USA)等). 我が国には(国立研究開発機構)情報通信研究機構のサイバーセキュリティ研究所がサイバーセキュリティ研究開発の世界的中核拠点を目指して最先端の研究を行っていますが,NATOの各研究機関で行われている現在進行系の事態に対する対処方法に関する研究は十分とはいえません.そこで,2018年に民間の有志が集まって組織されたのがサイバーディフェンス研究会で,2023年9月には(一般社団法人)サイバーディフェンスイノベーション機構となって研究と啓蒙活動を続けており,本機構が開催する今回6回目を迎える国際会議が,CYDEF 2023です.
CYDEF 2023のテーマは International Order and Active Cyber Defense 〜国際秩序形成のためのアクティブサイバーディフェンスの在り方〜. サイバーの世界では,第一波の攻撃は例えば同時多発・飽和攻撃により国家のインフラ全体をシャットダウンさせ,第二波で武力を伴う侵攻へと移行します.また,情報戦と認知戦で相手国の世論に対する影響工作を行うことにより国民の考え方に影響を及ぼす戦い方も,近年の国際紛争では様々な偽情報が飛び交って国際社会全体を混乱させているのは,周知のとおりです.
そこで重要となるのが サイバーディフェンスですが,従来から考えられている受動的な防御手段は,例えば飽和攻撃には部分的にしか効果がなく,認知戦の場合には国民一人ひとりのリテラシに依存するという課題があります.そこで,各国が近年対策の強化を考えているのが,アクティブサイバーディフェンス(能動的サイバー防御)です. しかしながら,専守防衛を要とする我が国において,攻撃される以前に可能な活動は,情報収集以外にありません.では,国家レベルでサイバーディフェンスに関する研究機関を持つNATO各国では,どのような対処が考えられているか, 古市先生がモデレータを担当するパネルディスカッションでは,各国の国家戦略と法と倫理と文化の面から,専門家が意見を交わします.
本国際会議はすべて英語で行われますが,同時通訳がつきます.サイバーディフェンスに興味のある学生の皆さんにとってはもちろんのこと,シリアスゲーム開発のネタとしてサイバーは新しい攻撃手法が次々と開発されてその都度防御法が考えられ,エンタテインメントゲームの開発者にとっても,次のゲームのナラティブを考える上では,とても良い機会になると思います.
CYDEF2023 from CYDEF on Vimeo.