シリアスゲームがこれまで最も活躍してきた現場が,私が会社勤め時代に開発に携わった防衛・宇宙分野ですが,今後の応用が期待されるのが教育及び医療・健康・福祉分野です.その中でも最も実用化が進んでいるのが医療・福祉分野ですが,これまで私は日本国内でしか見る機会がなく,我が国ではまだシリアスゲームの現場での利用はこんなものかと思ってました.そこで今回訪れたのが南米で最大の医学部を有するサンパウロ大学医学部,そこのリハビリセンターを訪問してきました.日本ではおそらくリハビリセンタは大学病院と同じ場所に付属しているものが多いと思いますが(間違っていたらご指摘下さい),サンパウロ大学では大学病院とは全く独立した組織として存在する大きなセンターとして機能しているのに驚きました.
見学させていただいてまず驚いたのは,さすが南米大陸最大の大学病院だけのことがあって実に高価な機器が多数利用されていることと,ほとんど全ての機器がコンピュータゲームと連携している点,すなわち,実際に現場で治療に使われているシリアスゲームが100を超えるぐらいの数あるということ.いずれも患者さんが楽しそうに(苦しそうな表情はされてましたが,実に楽しそうでした!)に利用されており,それ故写真をこちらで紹介できないのが残念ですが,私が患者さんになって撮ったものは上記写真の通りです.実際には,この装置は安価を目指して米国MITをスピンアウトした方が開発されたもので,それ以外のものは想像が付かないぐらいの価格がするものばかりでした.また,数理情報工学科に今年入ったモーションキャプチャシステムと同じ機種のシステムもありましたが,映画館のモーキャプスタジオ並の場所で利用されており,何もかも驚きでした
もう一つ驚いたのは,この大学病院には実に日系の方が多く活躍されていることで,医院長さんのミヤザキ氏も日系の女性の方でした.会議中当初は英語で話していたのですが,途中から飲み物の好き嫌いの話しとなり,私がガラナを飲んだことが無いという話になった以降は日本語での会議と変わりました...今後,古市研究室で開発したシリアスゲームを医療の現場で評価する際には協力していただけることとなりました.学生が現在開発しているいくつかのシリアスゲームをこちらへ持って来るのが楽しみです.言葉の心配が少ないというのも(英語が主だが,日本語も使えるという絶好の環境),数理情報工学科の学生にとっては安心なのではないかと思われます.今後が楽しみです.