生産工学部の学生は,3年生の夏に2週間の生産実習(インターンシップ)を必須科目として実施する必要がある.理系の大学では,夏休みにインターンとして企業実習を行うのは珍しくないが,それを必須科目としている大学は珍しいらしい.学生によってはとても良い機会である半面,千名を超す学生を一度に送り出す大学側としては,なかなか大変そうである.
インターンシップといえば,昨年のアカデミー賞 Science and Technology部門を受賞した坂口亮氏は,慶應義塾大学の環境情報学部でCGや映像制作等を専攻していた3年生の時,デジタルドメイン社で1年間のインターンシップを体験し,卒業後はそのままデジタルドメイン社に就職した方だ.坂口氏は流体シミュレーションが専門で,Load of the RingやThe Day After Tomorrow等に出てくる洪水等のCG技術が評価されてアカデミー賞を受賞した.工学的に流体シミュレーションを行うと,いかに実世界で起こる現象とマッチしているかを再現できたか否かが,その手法の妥当性判断基準となる場合が多い.しかし,坂口氏の妥当性判断基準は「監督の指示したリアル性」であるとのこと.すなわち,監督が水流をこのコーナで曲げろと言えば,そのように振る舞うような流体をモデリングするということ.これはまさしく,モデリング&シミュレーションにおける妥当性確認方法として専門家の判断による,に当てはまる妥当性確認方法である.
坂口氏に関しては,CG-ARTS協会のHPで詳しく紹介(←ここをクリック)されている. また,坂口氏を紹介したWOWOWの番組「QUEST 探究者たち 坂口亮他」を研究室のシネマスクリーンで観られるので,本研究室の学生は是非とも一度観ておくこと.