2022年11月にノルウェイのオスロで開催された第1回認知戦ワークショップに日本からの代表の一人として参加してきました.認知戦とは,人の認知の領域をソーシャルメディア(SNS)上の情報発信等による影響工作(インフルエンスオペレーション)によって攻撃することにより,特定の個人や集団,組織の考え方に影響を及ぼすことによって無力化するのを特長とする,新しい戦い方です.昔から知られる情報戦や心理戦と同じカテゴリの戦い方ですが,ソーシャルメディア(SNS)の活用によって短時間で多くの人々に影響を及ぼすことから,認知戦に関連する事例等の共有と,対処法等に関する技術をNATO及び日本等の同盟国間で共有し,今後研究が必要なテーマを絞り込むためのワークショップが,第1回認知戦ワークショップでした.
参加者は各国で情報戦や心理戦等を研究する大学の研究者,軍人及び関連企業の研究者で,集合写真を見てわかるようにとても女性が多いのが特長である.私の場合は当初モデリング&シミュレーションの専門家として参加したつもりであったが,認知戦の性質上途中からはシリアスゲームの専門家として参加し,チームに分かれて行う分科会では,イタリア・ドイツ・米国・ノルウェイ,ポーランド,スペイン,フランス,英国の専門家のチームに日本からは古市が入り,認知戦に対処する能力を軍人だけでなく一般市民が訓練する観点から積極的に意見を出して研究提案書をまとめあげた.
詳細は書けないが,認知戦は一般市民の認知の領域を攻撃するものであり,民主主義を基本とするNATO諸国及び日本においては,情報リテラシの観点から非常に緊急を要する課題であるため,帰国後には認知戦をテーマとしたシリアスゲームの開発に着手することを決めた意義あるワークショップの参加であった.
