2022年1月12日,NHK総合:歴史探偵「武士の都・鎌倉」に古市先生と理工学部の粟飯原先生とが出演しました.
古市研究室では人間の意思決定と行動をコンピュータ上で再現するためのメカニズムとして人工知能の応用を研究しており,応用分野の一つとしてTV番組の制作に協力して歴史上起こった様々な戦いをコンピュータ上で再現しています.これまでに再現した戦いは関ヶ原の戦い,三方ヶ原の戦い,本能寺の変,中国大返し,美濃大返し,長篠の戦い,黒船来航等ですが,今回番組でテーマとして取り上げるのは鎌倉幕府滅亡時に3日間かけても鎌倉が陥落しなかった鎌倉の戦いです.再現にあたっては,(株)構造計画研究所のartisoc Cloud(マルチエージェントシミュレーションのための開発環境)の上に粟飯原先生と古市とでモデルを開発しました.
番組の収録は2021年8月8日(日)に研究室で行いました.これに先立ち6日(金)には鎌倉の大仏切通で現地ロケをNICTの伊東寛氏と歴史家の久保田和彦先生と一緒に行い,8日には約2ヶ月かけて粟飯原先生が開発した「FAiBS鎌倉の戦い」を研究室で観戦しながら議論する形式で収録は行われました.
開発当初TV局から相談を受けた時には,大仏切通の中でもわずか40mx30mの戦場で3日間かけても攻略できなかった守り方とはどのようなものか想像がつきませんでしたが,陸自の初代システム防護隊長でウォーゲームが趣味でもある伊東寛氏から攻守双方様々な戦い方を教えていただき,歴史家の久保田和彦先生からは城塞都市としての鎌倉や逆茂木(さかもぎ)等について色々教えていただき,それらをコンピュータ上にモデリングしてシミュレーションした結果,うまくわかりやすく再現,可視化できたのではないかと思います.また,今後は引き続き最適化問題としてこの戦いを捉えて実験を続け,論文にまとめられればと考えています.番組を通して,ゲームAIの研究に興味をもってくれる中高生が増えてくれると良いですね.




